診療科
外科
胆・肝・膵臓外科
科の特色
肝臓、胆道(肝臓から十二指腸までの胆汁の通り道)、膵臓の病気の外科診療を担当しています。
この領域は胃や大腸などと異なり、手術前に内視鏡検査で病理診断(顕微鏡検査での診断)を付けることが困難な場合があり、 CTやMRIなどの画像診断が治療を行ううえで重要となります。また、肝炎などのように主に内科で治療する病気でも、肝細胞癌を併発した時は手術を行うこともあります。 従って、この領域の外科は内科や放射線科と連携をとって診療を進めていくこととなります。
肝臓や膵臓を切る手術は患者さんへの負担が大きく、手術後に重い合併症を生ずることもあります。従って、手術前には患者さんや御家族によく説明し、 十分納得して頂いたうえで手術を受けて頂くよう心がけています。
診察する主な病気(病名)
- 胆石症
この領域では最も手術件数の多い病気です。その中でも一番多いのは、胆嚢のみに結石のある胆嚢結石症や、これに炎症を伴った胆石胆嚢炎で、 手術方法としては、あとに述べる腹腔鏡下胆嚢摘出術などがあります。 - 総胆管結石症
肝臓から十二指腸への胆汁の通り道である胆管に結石があるものです。総胆管結石の多くは胆嚢内の結石が胆管に流出し、雪だるま状に大きくなったものです。 この場合の総胆管結石の治療は、総胆管内の結石の除去のみですが、その方法として、手術(胆嚢摘出術)の時に一緒に総胆管内の結石を除去する方法と、 十二指腸まで進めた内視鏡で総胆管の結石を引き出す方法とがあります。
しかし胆管から十二指腸への胆汁の出口に問題があって総胆管に結石ができた場合は胆管と腸をつなぐ手術が必要になります。 - 肝細胞癌
B型肝炎、C型肝炎などで治療中の方の肝臓にできることのある癌です。 治療法には手術だけでなく、TAE(血管造影の方法で肝細胞癌に行く動脈を特殊な物質で詰める)やRFA(肝細胞癌に針を刺してラジオ波で焼く)などがあり、 内科や放射線科と相談し、それぞれの患者さんに最も適した治療方法を選びます。 - 胆道癌
胆道(肝臓から十二指腸までの胆汁の通り道)に出来る癌です。 肝内胆管癌(肝臓の中に出来る癌)と肝外胆管癌(肝臓の外に出来る癌)に分けられ、肝切除術や膵頭十二指腸切除術といった大きな手術になることがあります。 ただ、早期発見しにくい癌でもありますから、手術以外の方法(放射線治療、※ステント治療)が適している場合もあり、 放射線科とも相談して治療方法を選びます。
※ステント治療
胆管、腸、血管などの管状の臓器が病気で狭くなった時に、筒状のもの(ステント)を入れて開通させる治療です。 - 膵癌
お腹の癌の中でも最も発見の困難な癌です。 手術が出来る場合は膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術が行われますが、発見時には既に進行していることも多く、 放射線治療、ステント治療、抗癌剤治療も含め、複数の科が共同して治療を進めることとなります。 - そのほか、大腸などから癌が肝臓に転移した場合も手術を行うことがあります。
「腹腔鏡下胆嚢摘出術」
お腹の3~4ヶ所に小さな穴を開け、その穴から挿入した内視鏡でお腹の中を見ながら胆嚢を取り出す手術です。
この手術だと手術後の痛みは軽く、また手術後3~4日で退院可能です。ただ以前にお腹の大きな手術を受けたことのある方や、
胆嚢癌の疑いがある方では最初からお腹を切る手術をお勧めしています。また腹腔鏡下胆嚢摘出術を目指して手術を始めても、
お腹の中の炎症や癒着が予想外に強かった場合は、安全な手術を行うため、途中で開腹手術に変更することもあります。
当科では年間約60例の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っております。