市立砺波総合病院 総合リハビリテーションセンター

トピック

寝たきりにならないために ~早期離床の重要性~

総合リハビリテーションセンター

★入院中の寝たきり
 なぜ寝たきりでいると身体が弱るのでしょうか?普段私達は朝起きて、夜眠るまでの間、大半は座っているか立って活動しています。 日常生活を視点を変えて見てみると、地球上の重力に抗して姿勢を保ったり、運動したりの連続です。つまり一日中がトレーニングをしているようなものです。 一方、入院中の患者さんはどうでしょう?医師から絶対安静と言われている人は別として、そこにベッドがあるから、何となく楽だからという理由で 一日の大半をベッドの上で横になって過ごしている患者さんを時折見かけます。

骨のイラスト

★寝たきり(臥床:がしょう)で身体にどんな変化が起きるの?
①筋肉がやせる
 臥床が続くと筋力低下を生じますが、特に背骨を支える筋肉や太ももやふくらはぎなど重力に負けないよう姿勢を保つ筋力(抗重力筋)の低下が著しくなります。 そうなると、一見筋力があまり必要なさそうな座る姿勢でさえも保つのが難しくなります。

②骨がやせる
 寝たきりや宇宙のような無重力状態では骨に対する重力刺激が少なくなります。そうすると骨の代謝が悪くなり、カルシウムが体外へどんどん排出されて、 骨密度が低下し、些細なことでも骨折しやすくなります(骨粗しょう症)。

リハビリ診察中のイラスト

③起きたときに血圧が下がる。
 寝たきりでいた患者さんが急に起き上がると、血液が下半身に移動し脳血流が低下するため、めまいや立ちくらみ、時には失神を起こすことがあります。 これは寝ている間に体内を循環する血液量が減少したり、血圧を維持するための末梢血管の調節機能が低下したりすることによります。 こまめにベッド上で体を起こしたり、車椅子に座ったりするだけでも循環系の機能低下予防に効果があります。

④肺合併症
 特に高齢者では肺炎の発生率が高くなります。同じ姿勢でいることで肺の背中側に痰が貯まりやすくなり、その部位にしばしば感染(誤嚥性肺炎)を生じます。 高齢者の肺炎は非常に重症化しやすく注意が必要です。口腔内を清潔に保つことや、体位変換をこまめに行うなど予防ケアが大切です。

寝たきりをつくらないために
 臥床が様々な弊害を生じることを述べてきましたが、重要なことはできるだけ早期からベッドから離れる(離床:りしょう)時間を確保し、 寝たきり状態を長引かせないことです。予防が何より重要と言えます。寝たきりになってからのリハビリでは遅いのです。 そのような観点から最近では超早期からリハビリを行う機会が増えています。どこかでリハビリに接する機会があるかもしれませんが、 その際はご理解とご協力をお願いします。